政府は9日午前の閣議で、菅政権発足に伴い、副大臣22人を正式決定した。内閣府副大臣に平岡秀夫民主党元政調副会長、外務副大臣に藤村修前衆院厚生労働委員長、財務副大臣に池田元久元衆院外務委員長、農林水産副大臣に篠原孝民主党元政調副会長、国土交通副大臣に三日月大造国交政務官が就任する。そのほかの17人は再任。同日午後に認証式を経て正式に就任する。
政務官では、三日月氏の後任に津川祥吾衆院議員を充て、そのほかの24人は再任とした。
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宮崎県で感染拡大が続く家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)。国内で初めて実施したワクチン接種は25日までにほぼ終了したが、終息の見通しは立っていない。赤松広隆農相は同日の衆院農林水産委員会で「これだけ広がったことは、申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と述べ、初めて結果責任を認めて陳謝した。政府は対策を進めるが、家畜をすべて失う農家からは将来への不安の声が上がり、地域経済への影響も広がり始めている。
◇「早期出荷」「再建」農家に不安
「早期出荷の手順、時期がどうなるか分からない」。政府がワクチン接種と並ぶ対策の柱とする「早期出荷」の対象になった国富町の「宮崎牛」肥育農家、山元正人さん(57)は不安な日々を過ごす。
早期出荷の対象は、県央部の発生地から半径10〜20キロに設定された搬出制限区域の全家畜。牛と豚をゼロにして「緩衝地帯」を作り、感染拡大を防ぐ狙いがある。だが、食肉処理場の確保や輸送方法などを国と県が協議中で、まだ始まっていない。
国は適期前の早期出荷を巡り、適期まで生育した場合に想定される販売時価との差額を補てんするとした。
だが、約40頭を育てる山元さんは「2カ月前に50万円で買ったばかりの肥育素(もと)牛(うし)はまだ体が小さく、枝肉にしても買いたたかれるのが落ち。本当にきちんと評価してもらえるのか」と不安は尽きない。
7年前に脱サラして始めた肥育。牛舎の建設費の借金が残り、飼料価格の高騰などにも悩む。09年度は約2000万円を売り上げたが、利益は25万円。「素牛を買い入れ、肥育して出荷できるまで2年間は必要。その間の収入はまったくない。ゼロからの再建ができるようにしてもらいたい」と訴える。
再建への不安は、殺処分対象となった農家も同様だ。
県内のJA13組合を束ねるJA宮崎中央会の羽田正治会長は21日、畜産農家約1400戸の経営再開に必要な費用は約800億円に上るとの試算を示し、「補償が農家の安心につながる」と十分な支援を求めた。
長引く口蹄疫が経済にも大きな影響を与えるのは確実な情勢だ。
JA宮崎信連によると、県内13JAへの緊急融資申し込みは21日までで316件。うち100件に計約2億6900万円を融資した。宮崎銀行にも二十数件、計約3億円の申し込みがある。相談は農家だけでなく、家畜の運送会社や食肉関連の卸、小売業者などから寄せられている。
甲斐諭・中村学園大教授(食品流通学)は「畜産は多くの関連産業から成り立つが、すべてストップした状態だ。宮崎産の子牛は、各地の高級ブランド牛産地にも出荷されている。口蹄疫の経済的影響は計り知れず、長期化すればBSE(牛海綿状脳症)や鳥インフルエンザよりも深刻で、未曽有の被害となるだろう」と指摘する。【石田宗久】
◇九州・沖縄、家畜取引を停止
口蹄疫発生を受け、九州・沖縄地方では54カ所ある家畜市場のうち、福岡県内の1カ所以外は牛や豚の取引を停止している。畜産関係者や家畜を介した感染拡大を防ぐためだが、同地方は肉用子牛の取引頭数が約23万頭(09年度)で全国の約6割を占めており、影響が広がっている。
「佐賀牛」の生産者で農林水産大臣賞などの受賞歴もある佐賀県伊万里市の古竹隆幸さん(47)は昨年、飼育頭数を140頭から200頭に増やしたばかり。子牛が調達できなくなり「タイミングが悪過ぎた」と嘆く。
長崎県などで子牛を買い付け、20カ月ほど育てて毎月10頭ぐらいずつ出荷してきたが、子牛が買えなければ売り上げ減も必至だ。
不況による牛肉の消費減退で、成牛の値段も以前の1頭100万〜105万円から85万円程度に下がっており、口蹄疫発生は「泣き面に蜂」となった。
窮状は繁殖農家も同じだ。佐賀県唐津市の担当者は「農家は出荷適齢期を過ぎた子牛を抱え、牛舎は満杯。餌代もかさむ」と話す。
市場での競りが開かれないため、相対取引で子牛を売る農家も出始めたという。
九州・沖縄の取引停止が長期化すれば、影響は全国に及ぶ。独立行政法人農畜産業振興機構によると、全国で4月に取引された黒毛和種の子牛は前年同月比13%減の2万7559頭で、平均価格は38万2776円と7%上昇した。
同機構は「模様眺めの畜産農家も多いと思うが、取引停止が続けば子牛価格が更に高騰し、農家経営を圧迫する可能性がある」と話している。【行友弥】
◇殺処分の確実な遂行を
県央部と県西部の2地域で発生した今回の感染。県央部では拡大が続く一方、県西部では13日を最後に感染疑い例は出ていない。
両地域の違いは殺処分までの時間だ。県西部では、排せつ物などに含まれるウイルスが牛の約1000倍とされる豚は感染疑いを確認した日に処分し、牛も3日以内に終えた。県央部では埋却地の確保が難航し、処分待ちの家畜が多数に上る。
今後の見通しについて、東京大の明石博臣教授(獣医微生物学)は「現時点ではいつ終息するか分からない。ただし、典型的な流行なので、教科書通り殺処分を確実に遂行することが重要」と語る。
風による広範囲なウイルス拡散への対策を求める声も。真木太一・九州大名誉教授(農業気象環境学)は「ウイルスは砂ぼこりや土ぼこりに付着し、風で飛ばされる。ヘリコプターなどを使って大がかりな薬剤散布をすべきだ」と話す。他地域への飛び火については、明石教授は「可能性を否定できない。従来通り消毒を徹底するしかない」と指摘している。【佐藤浩、福永方人】
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パロマ工業製ガス湯沸かし器による死傷事故発覚から4年。法改正や遺族の念願だった消費者庁が発足するなど安全態勢の整備が進められている。一方、点検や回収対象になったパロマ湯沸かし器の7割に当たる約19万5千台のチェックはいまだ終わっておらず、同庁や同社は判決を機に消費者に重ねて呼びかけを行う。
「事故情報を一元化し、消費者庁を作ることになった大きな原点」。午後に判決を控えた11日朝の閣議後会見で、福島瑞穂消費者担当相は事故について、そう語った。事故の教訓は、事故情報を再発防止に生かせなかったことだと指摘。「教訓を生かし、引き続き消費者の安全確保に取り組みたい」と述べた。
消費者庁発足前は、受付先がバラバラだった事故情報は現在、消費者側、メーカー側の情報ともに消費者庁に集まるしくみだ。同庁は「双方から情報を集めることにより、事故情報のダブルチェックができる」と利点を強調する。
事故を受け、法改正も進んだ。それまで、国への事故報告はメーカー側に任せられていたが平成19年5月、メーカー側が事故を知ってから10日以内に国に報告することなどを義務付ける改正消費生活用製品安全法が施行。施行以来、回収対象商品の事故や、パロマ事故と同様の事故報告はないという。
21年4月には、経年劣化で重大事故を招く恐れのある9品目について、耐用年数表示を義務付ける改正法も施行された。
一方、パロマでは、回収や点検を続けている。同社によると、対象商品は7機種、計約26万3千台。このうち、ガス事業者の使用者リストがあるのが約6万8千台で、回収・点検や、使用されていないことの確認をほぼ終えた。しかし、残り約19万5千台は所有者が分からず、定期点検での発見や本人からの申告を待っている状況だ。
対象商品は発売から20〜29年が経過し、廃棄されたものも多いとみられる。同社は「見つかる可能性が低くても点検活動を続ける」とし、ホームページでの告知を続けている。
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